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第1章 年収1億ディーラーの投資術
著者の生い立ちを語りつつ、株式投資を始めたきっかけやディーラー時代の仕事、ファンドマネージャー時代の仕事の内容や雰囲気をふんわり感じることができます。章のタイトル「年収1億の投資術」から具体的な投資術が知れるかと思ったのですが、やや薄い内容でした。
また著者は手動でトレードしていること驚きました!なんらかのシステムを使ったアルゴリズム取引を行ってるのかな?と想像していましたので。
ただ、一つ興味深かったのが同僚のディーラーの手法です。あえて流動性の低い板が薄い板でトレードするという逆転の発想を活かした手法です。
一般的に板が薄い銘柄で、ロングでエントリーした場合、イグジットがしにくいため避けることが多いです。流動性が低い、つまり、売りたいけど、誰も買ってくれない状態が発生するためです。しかし、この同僚ディーラーは、こう考えます。「板が薄いと売りづらい。つまり、売り方が積極的に参加してこない。つまり、買い方が有利」と。たまたま売り方が強く、株価が下落した場合は、イレギュラーな売りと考え安値で買い増すそうです。しかし、利益確定する場合、大幅に株価を下げないように少ない株数で利益確定を行うため、薄利となります。そのため、同じ手法を他の銘柄にも適用し薄利多売を目指します。
第2章 板読みの基本の基本
指値注文、成り行き注文、約定の優先順位など株式取引する上での基本的な説明から始まり、マーケット参加者について説明しています。著者は特に個人投資家が何を考えどのポジションをとっているのかを先読みすることが重要だと説いています。
- 板の変化から市場参加者を推測することができる
- 機関投資家
- 1銘柄において関与率が20%を超えて取引するとはない
- ダラダラと中期にわたり買い入れが続く傾向がある
- アルゴリズムトレードを活用。VWAP取引
- マーケットインパクトを考慮し慎重に売買をする
- 短期で儲けたいヘッジファンド
- 個人投資家
- 需給を大きく歪ませる力を持っている
- 個人投資家の考え、ポジションを先読みすることが重要
- 機関投資家
第3章 板読み投資の基本テクニック
著者は板にはパターンがありこのパターンから今後株価が同変化するかを5手先まで先読みしトレード手法を紹介しています。しかしながら、本章では具体的な説明はありませんでした。スクールを運営しているので有料のスクールコンテンツなのでしょう。
基本的には、反復練習をしてそのパターンを学びトレードに活かしていく方法を紹介しています。
ただ、寄り付き前の板のパターンに関しては後述する第5章 板読み投資の実践テクニックで紹介しています。
第4章 銘柄選びの基本テクニック
- TOPIX100は除外する。人間の目で板を監視し株価を先読みするのが難しいため
- 出来高50万〜100万株以上の流動性の高い銘柄
- 株価が5,000円以上。利益が大きく効率よく稼げるため
- 補足: 100株投資した場合、高位株の方が利益が大きいからと説明していますが、低位株でもポジションサイズを大きくすれば利益は大きくなりますので著者の言わんとすることが正確に理解できませんでした。
- 低ボラティリティ銘柄。損失リスクを抑えるため
- 値上がりしているセクターから抽出
- 資金が投入されているセクターを業種別インデックスなどを見て判断する。
第5章 板読み投資の実践テクニック
実践的にテクニックの紹介です。
特徴
- 午前9時から10分間だけトレード
- 買い板が厚く、売り板が薄い銘柄を選択する
- 200銘柄の監視銘柄を用意する
- 一回のトレードで0.5%の利回りを目指す
- 1日の最大損失額を決めておく
手順
- 寄り付き前に監視200程度の銘柄をチェックする
- 最適な板の状態の銘柄を選択し寄り付き条件で指値エントリーする
- 9:10には利益確定をする。深追いはしない
寄り付きの板のパターンは4種類
- 買い板の順張り(←板読み投資で採用)
- 買い板の逆張り
- 売り板の順張り
- 売り板の逆張り
第6章 最後はメンタル
- 体調が悪いときはトレードをしない
- 自分の性格を理解してトレードする(熱くなりやすい、怖がり等)
- イライラしているときはトレードしない
- 負けても落ち込まない。負けを復習して次のトレードに活かそう
まとめ
著者はディーラーやファンドで経験したプロフェッショナルなので分かりやすい説明の中にも重要な業界用語がポロッと溢るので新しい発見があります。例えば、空売り規制、需給の歪、ラウンドナンバー、市場関与率、VWAP取引等人ついてです。どれも株価の動向を先読みするために非常に重要な要素だなと感じました。
肝心の寄り付き直後の板読み投資術ですが、事前に200銘柄を板をチェックするのが大変だなと感じました。何らかのシステムを組んで自動化したりすればラクして高確率で儲けられるのでは?と可能性を感じました。
本記事を読んで興味を持った読者の方は、是非チェックしてみてください!